【No.22】統計データの加工で差がつくエリアマーケティング
今回の豆知識は、エリアマーケティングを行う上で重要な統計データの話です。
エリアマーケティングは、地域ごとの特性を把握し、商圏の分析や新規の出店計画に活かしていくものです。
例えば、新規に店舗を出店する際に、その地域がどの程度の成長率をもっているかを把握したいとします。
エリアマーケティングでは、その地域の国勢調査データや事業所・企業統計調査データ、商業統計データなどを時系列で比較し、地域の成長率を調べます。
その際、近年行われた市町村合併の影響で、調査年ごとに統計データの調査地域が異なっている場合があり、そのままでは比較ができない場所が出てきます。
通常そういう地域は、合併後の統計データを、合併前の地域ごとの面積比で分けるという方法で対応します。
しかし、この方法は、面積比での分けとなるため、実際の値との誤差が大きくなる恐れがあります。
住宅地が多い地域、商店街がある地域、駅前、郊外、山間部など、各地域によって、データの値を増減する要素が多々にあるからです。
その誤差をより少なくするために、その地域の世帯分布や商業地、事業所の集積地など、地域の特性データを加味して、値を推計算出するという方法があります。
これらのデータで時系列比較を行うことで、より確かな地域の成長率などがわかり、ふさわしい出店候補地を選定することができます。
エリアマーケティングでは、分析に用いられるデータの精度が重要になってきます。そのため、そのデータに加工が必要になる場合、データの推計方法も重要になってきます。
一般的にも広く利用されるようになった、道路画像データ。
地図とリンクした実際の道路風景を、地図上から簡単に閲覧できるというものです。
この道路画像データは、道案内や現地の状況を確認できる便利さから、広く業務でも取り入れられはじめています。
保険業界での事故対応時の周辺状況調査や、コールセンター業務での、対応顧客の現在地特定など。
例えば、幹線道路沿いに路面店を出すときに、道路の中央分離帯の有無で集客が変わることがあります。
その際に、実際に現地に行かずとも、道路画像データで現地の状況を確認するといった、エリアマーケティングのツールとして利用することもできます。
対応エリアが都市部だけでなく全国をカバーしていたり、閲覧できる画像が高解像度なものなど、業務用に配信される道路画像データも出てきています。
このような高解像度、広範囲の道路画像データは、どのようにして制作されたのでしょうか。
いまやドライブに欠かせない存在のカーナビ。
実は、このカーナビなど交通系の用途で使う専用の地図を制作する際に作られるのです。
例えば、カーナビで使う地図は、実際に自動車が通れる道を収録する必要があります。「地図には道があるけど、実際に行ってみたら歩行者しか通れない道だった」では困りますね。
そこで、カーナビで使う地図を制作するさいには、地図の精度を高めるため、実際に自動車で道路を走って調査をしているのです。
その際に、自動車に車載カメラを搭載し撮影した画像が、道路画像データというわけです。
本来の業務で利用され、その後二次的な利用方法として日の目を見た道路画像データ。
まだまだ業務で有効に活用できる方法を秘めていそうです。